「毎日2リットルのお水を飲みましょう!」
十分な水分補給のためだと言われ続けてきたこの言葉。
疑うことなく信じてこられた方が多いのではないでしょうか。
果たして、毎日そんなにたくさん水を飲む必要があるのでしょうか。
この説を立証する論文を探してみたのですが、残念ながら、何一つ見つけることはできませんでした。
また、人類の歴史においても、習慣的に毎日2リットルの水を飲んでいたという記録はどこにもありません。
つまり、毎日2リットルの水を飲む必要がある、という科学的証拠はどこにもないのです。
では、これまでどうして広まっていったのでしょうか。
実は、この説を唱え始めたのは世界規模を誇る食品会社。
「毎日2リットルのお水を飲みましょう!」というキャッチフレーズを僕たちの頭に刷り込ませ、水を買わせる。
彼らのマーケティング戦略でしかなかったのです。
当時、始動したばかりのペットボトル飲料水市場にとって、このキャッチフレーズで売り込むことは、非常にタイムリーで好都合だったのでしょう。
彼らの戦略どおり、もしくはそれ以上に、ペットボトルの水が普及した現在。
プラスチックの大量生産・破棄により、海の環境汚染や水産資源への影響が深刻化されてしまったのは、とても悲しい事実です。
考えてみれば、僕が若かった頃は、ペットボトルの水を持ち歩いている人は見かけませんでした。
だからといって、脱水症状で病院に運ばれた人が多かったとは思えません。
とはいえ、水を摂ることは人間の健康にとって不可欠であることは事実です。
水は身体に必要な必須栄養素と言っても過言ではないでしょう。
なにしろ、人間の身体は60%が水でできているのですから。
人間の身体の水分量は、赤ちゃんは75%、高齢者は50%と、年齢によって差があります。
それでは、身体にある水分はどこに多く含まれているのでしょう。
実は、年齢にかかわらず身体の水分のほとんど(3分の2)は、細胞内に含まれています。
残りの3分の1は、細胞と細胞の間や血液内に存在します。
年齢とともにまず最初に減っていくのは、細胞内液です。
アメリカの皮膚科医ハワード・ミュラド氏が書いた本「The Water Secret」でも、「若者と高齢者の肌を比べたときの最も大きな違いは、細胞内の水分量である」と書かれています。
それなら、細胞の水分量と若さを保つために、毎日水をたくさん飲もう!…と思ってしまいますよね。
しかし、残念ながらそんな簡単にはいきません。
なぜなら、水が細胞内に入り込むには突破しなければならない壁があるから。
それが、細胞膜です。
細胞一つ一つは、細胞膜に覆われています。
この細胞膜は、不要なものの侵入を防ぎ、必要なものを取り入れるフィルターのような役割をしています。
では、いったい水はなぜ、はじかれてしまいがちなのでしょうか。
それは細胞膜のほとんどが、油(不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸)でできているからなんです。
油と水が交わることはありませんよね。
でも、安心してください。
水分を効果的に細胞内に摂り入れる方法があります。
それは、水分とマグネシウムと一緒に摂るということ。
そうすることで、細胞膜を突破することができるのです。
つまり、水分とマグネシウムの両方を同時に摂ることで、最も効果的に水分を細胞内に送ることができるのです。
水分とマグネシウムの両方は、緑の濃い葉野菜に多く含まれています。
僕が提案している食事法では、生のサラダを毎食たっぷり食べることをオススメしています。
そうすることで、自然と水分補給が十分にできるはずです。
ただし、激しい運動をするときや暑い夏の日には、より多くの水分補給が必要です。
僕は運動するときはいつも、グリーンパウダー(ベジパワープラス)を水に混ぜて飲んでいます。
まさに、飲むサラダ。
激しいワークアウトをするときの必需品として持ち歩いています。
最後に、食事中の水分補給に関して、注意していただきたいことをお話しておきます。
食事中に水やお茶、お酒など(あらゆる飲み物)を飲み過ぎるのはやめましょう。
飲んだものにより消化液が薄まり、消化吸収の邪魔になってしまうからです。
水分補給は、食事と食事の合間に済ませて、食事中の飲み物は最小限に抑えるのがベスト。
消化不良に悩まれている方は、特に気をつけましょう。
来週は食物繊維についてお話していきます。
お楽しみに。